LED光
特徴
LEDはレーザーと異なり、広い範囲へ比較的均一に光を届けやすい光源です。赤色光・近赤外光による皮膚や筋への応答が研究され、特に633nm・830nmの皮膚研究など、組織レベルで変化を調べた報告があります。機器ごとの波長や照射量は同一ではありません。
作用機序
赤色・近赤外LEDを用いたPBMでは、光受容分子を介した細胞内シグナル、ATP、炎症反応、線維芽細胞などへの作用が研究されています。レーザーと同じ波長でも、照射量や光学的特性が異なれば結果は同じとは限りません。 引用文献:Hamblin MR. Mechanisms and applications of the anti-inflammatory effects of photobiomodulation. AIMS Biophys. 2017;4(3):337–361. 原典を見る ↗
臨床研究
多様な皮膚創傷に対する予備的臨床報告(830nm)
Min・Goo(2013)は、830nm LED(100mW/cm²、60J/cm²)を用いて、原因の異なる創傷5症例を報告しました。全例で創傷の治癒と感染・不快感の改善が認められました。比較試験による検証が今後の課題です。 引用文献:Min PK, Goo BL. 830 nm light-emitting diode low level light therapy (LED-LLLT) enhances wound healing: a preliminary study. Laser Therapy. 2013;22(1):43–49. DOI:10.5978/islsm.13-OR-06. [原典を見る ↗]
Leeらの2007年のランダム化・プラセボ対照試験では、顔のしわがある76人に633nm、830nm、両者の併用または模擬照射を行い、皮膚のしわ・弾力などを評価しました。照射群で改善が報告されています。 引用文献:Lee SY, Park KH, Choi JW, et al. A prospective, randomized, placebo-controlled, double-blinded, and split-face clinical study on LED phototherapy for skin rejuvenation. J Photochem Photobiol B. 2007;88(1):51–67.
●尋常性ざ瘡(ニキビ)に関する光療法の比較試験(415nm・660nm)
Papageorgiouら(2000)は軽度〜中等度の尋常性ざ瘡患者107人を、青色光(415nm)、青色+赤色光(415+660nm)、白色光、5%過酸化ベンゾイル外用の4群に無作為に分けました。光照射群は1日15分、12週間実施しました。併用光群では炎症性皮疹が平均76%改善し、白色光群とは各評価時点で、過酸化ベンゾイル群とは8週・12週で有意差がありました。一方、青色光単独群との差は4週・8週で認められましたが、12週では有意ではありませんでした。面皰の平均改善率は58%でしたが、他群との差は統計学的に有意ではありませんでした。使用した光源をすべてLEDと断定せず、光療法の研究として紹介します。 引用文献:Papageorgiou P, Katsambas A, Chu A. Phototherapy with blue (415 nm) and red (660 nm) light in the treatment of acne vulgaris. Br J Dermatol. 2000;142(5):973–978. [原典を見る ↗]
酒皶に対するLED臨床報告
義澤(2023)は酒皶5例に赤色・青色LEDを週1回、8~12週間照射し、皮疹スコアの改善を報告しました。 引用文献:義澤 雄介. 2色(青色,赤色)light-emitting diodesの同時照射が奏功した酒皶の5例. 日本臨床皮膚科医会雑誌. 2023;40(2):159-164. DOI:10.3812/jocd.40.159 [原典を見る ↗]
スポーツ外傷に対するLED照射(830nm)
830nm LEDを用いた大学アスリートのパイロット研究。395件のスポーツ外傷に対し1669回の照射が行われ、追跡データが得られた65人では競技復帰までの平均期間9.6日が、過去の治療経過から予測した19.23日より短かったと報告されました。比較対象は過去の治療経過に基づく予測値です。 引用文献:830 nm light-emitting diode (LED) phototherapy significantly reduced return-to-play in injured university athletes: a pilot study. Laser Ther. 2016;25(1). J-STAGE [文献を確認 ↗]
美容・皮膚の臨床研究(633nm・830nm)
顔のしわがある76人を対象とした二重盲検比較試験では、633nm、830nm、両波長のLED照射群で、照射前と比較したしわの減少(最大36%)と皮膚弾力の増加(最大19%)が報告されました。 引用文献:Lee SY, Park KH, Choi JW, et al. A prospective, randomized, placebo-controlled, double-blinded, and split-face clinical study on LED phototherapy for skin rejuvenation. J Photochem Photobiol B. 2007;88(1):51–67. 原典を見る ↗
運動能力や筋疲労に関する研究
Vaninら(2018)は健康な人を対象としたランダム化試験39件(計861人)を系統的に検討し、うち28件をメタ解析しました。運動の持続時間、反復回数、筋力、血中乳酸などの一部指標ではPBMに有利な結果が報告されました。研究によって結果に違いがあり、レーザーとLEDの双方を含む研究をまとめた総説です。 引用文献:Vanin AA, et al. Photobiomodulation therapy for the improvement of muscular performance and reduction of muscular fatigue associated with exercise in healthy people: a systematic review and meta-analysis. Lasers Med Sci. 2018;33:181-214. DOI:10.1007/s10103-017-2368-6
アスリートに対するPBM照射
村山(2020)はアスリートの競技パフォーマンス、筋疲労とPBMに関する既報を整理しています。 引用文献:村山 光義. アスリートに対するPhotobiomodulation therapyの応用―スポーツ・パフォーマンス向上への研究紹介―. 日本レーザー医学会誌. 2020;41(2):133-141. DOI:10.2530/jslsm.jslsm-41_0019 [原典を見る ↗]
運動前後のPBM照射と筋損傷に関する研究
米津(2020)は運動前後のPBM照射と筋損傷に関する研究を概説しています。筋疲労回復の可能性は検討されています。 引用文献:米津 貴久. 骨格筋系に対するPhotobiomodulation Therapy(PBMT)の可能性. 日本レーザー医学会誌. 2020;41(2):155-160. DOI:10.2530/jslsm.jslsm-41_0016 [原典を見る ↗]